インテグリカルチャー、独自の培養技術を用いて食品のみでつくった「食べられるアヒル肝臓由来細胞」の培養に成功
血清・成長因子をまったく使わないのは世界初、2023年中の安定量産を目指す

動物由来細胞から食品原料などを作る「細胞農業」の実用化を目指すインテグリカルチャー株式会社(本店:東京都文京区、代表取締役CEO:羽生 雄毅、以下「インテグリカルチャー」)は、2023年2月21日(火)、フランスの高級食材「フォアグラ」として知られるアヒルの肝臓を形成する細胞(以下、アヒル肝臓由来細胞)を培養し、食品素材として利用することに成功しました。なお、今回の成果は、弊社の特許技術であるCulNet®︎(カルネット) システムを核として、細胞性食品(培養肉)の開発を共同で進めている「CulNet®︎(カルネット) コンソーシアム」の協力のもとで実現されたもので、これまで食経験があり安全性が確認されている成分だけ用いて細胞培養することが可能となりました。


「食べられるアヒル肝臓由来細胞」

また、従来の細胞性食品(培養肉)の製造には、動物由来の血清や成長因子が使われます。しかし、高価なため、細胞性食品の生産コストを押し上げていました。そうした中、インテグリカルチャーは、血清や成長因子をまったく使わない、世界初※1となる「食べられるアヒル肝臓由来細胞」をつくることを可能にしました。
※1:アルブミン、トランスフェリン、インスリン、成長因子などの血清成分をまったく使わず、食品のみを使ってつくる細胞性食品としては世界初。インテグリカルチャー調べ

細胞性食品(培養肉)は、温室効果ガスの排出削減や水資源の消費抑制に貢献できる可能性があり、新たなタンパク質食料資源として、また、地球温暖化対策の一つとして期待されています。

現状では生産コストが大きな課題になっていますが、インテグリカルチャーは、カルネット コンソーシアムと連携しながら低コスト化を段階的に進めるとともに、今年中に安定的な量産体制を構築する予定です。また、培養したアヒル肝臓由来細胞を素材とした新たな食体験を目指して、レストランのシェフなどからアイデアをいただきながら、メニュー開発も進めていきます。

第1弾として、世界各国でホテルやレストランを運営する株式会社Plan・Do・See(本社:東京都千代田区、代表取締役:野田 豊加、以下プラン・ドゥ・シー)の毛利 周太シェフとコラボして、「細胞性食品でつくるフォアグラ風味のお出汁たっぷりフラン」を開発しました。

細胞性食品でつくるフォアグラ風味のお出汁たっぷりフラン

2023年2月21日(火)、CulNet コンソーシアムのメンバー企業15社の協力を得て、THE AOYAMA GRAND HOTEL / 青山グランドホテル(東京・青山)で官能評価会を実施しました。

官能評価のための料理を前にする羽生CEO(右)と川島CTO(左)と料理を出す毛利シェフ
 官能評価を実施するCulNet コンソーシアムの代表者ら

アヒル肝臓由来細胞を素材とした食品の開発を進める背景
フォアグラは、アヒルやガチョウに強制的に餌を食べさせて生産するため、イギリス王室が公邸内でのフォアグラの提供を禁止するなど、国際的にその生産や提供を抑制する動きが高まってきています。現状の技術では、伝統的な食材であるフォアグラと同じ食感や風味の再現は難しいですが、問題解決の一助になる可能性を目指して開発を進めていきます。

今回のメニュー開発担当者
プラン・ドゥ・シー 青山グランドホテル総料理長 毛利 周太氏

■ インテグリカルチャー株式会社 < https://integriculture.com >
食品・素材・皮革などを作るバイオ資源生産技術のプラットフォームとして、世界に類を見ない細胞培養技術「CulNet®(カルネット) システム」を開発し、様々な分野での実用化を目指しています。
カルネット システムは、動物体内の臓器間相互作用を模した環境を擬似的に構築する仕組みです。本技術は、動物細胞を大規模かつ安価に培養することを可能とし、培養肉を始めとする様々な用途での活用を目指して研究開発を進めており、培養肉の大きなコスト要因である成長因子(血清様成分)の内製化は既に実現しています。高価な成長因子の投入が不要になったため、生産コストの大幅な節減が可能となり、現在は培養フォアグラの社会実装に向けた取り組みを加速しております。

■ CulNet®︎(カルネット)コンソーシアム
インテグリカルチャーが発起人となり2021年4月に設立した、細胞農業(セルアグ)のオープンイノベーションプラットフォームです。大豆を原料とした代用肉より食肉に近い食材として細胞性食品(培養肉)が注目され、各国で開発が進められていますが、生産コストの節減、食品としての安全性の確認、商業生産を可能とする実践的な製造プラントなど、解決すべき多くの課題があります。
カルネット コンソーシアムには、培地、培養、装置など各領域、業界の高い技術力を有する企業が参画し、オープンイノベーションにより、これらの課題解決に向けて協業しており、細胞農業を実現していくためのプラットフォームの構築を目指して
います。

【カルネット コンソーシアム参画企業 計15社(50音順、2023年2月21日現在)】
インテグリカルチャー株式会社、株式会社荏原製作所、
三栄源エフ・エフ・アイ株式会社、住友理工株式会社、大陽日酸株式会社、
ダイダン株式会社、千代田化工建設株式会社、DM三井製糖株式会社、
株式会社ニチレイフーズ、日産化学株式会社、
ハウス食品グループ本社株式会社、株式会社浜野製作所、他3社

■ 株式会社Plan・Do・See
株式会社プラン・ドゥ・シーは、「日本のおもてなしを世界へ」をミッションに掲げるホテルマネジメント会社です。現在、世界5カ国にレストラン、ホテルを運営し、1993年の創業以来常にその時代に合ったデザイン、サービス、空気感で空間を提供
すること、その土地の一番店、唯一無二の場所を創り出すことにこだわってきました。ホテル・レストラン・バンケットの運営、委託、企画、コンサルティングを主たるビジネスドメインとし、インテリア、グラフィックデザイン、店舗計画、空間設計
プロデュース等も行っています。
プラン・ドゥ・シーならではの体験、詳細情報は、店舗もしくはhttps://plandosee.co.jp/ へのアクセスをお願いいたします。

【報道関係者からのお問い合わせ先】
インテグリカルチャー株式会社 広報窓口 pr@integriculture.com