インテグリカルチャーの細胞農業の重要技術「臓器間相互作用スクリーニングの自動化」がNEDOの研究開発型スタートアップ支援事業採択により加速
~約2億円の助成金交付で低コストでより多くの種類の培養肉を可能に 持続可能な食の実現目指す~

動物由来細胞から食品や原料などを作る「細胞農業」で持続可能な世界を目指すインテグリカルチャー株式会社(本店:東京都文京区、代表取締役CEO:羽生雄毅、以下インテグリカルチャー)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下NEDO)の2022年度 「研究開発型スタートアップ支援事業/地域に眠る技術シーズやエネルギー・環境分野の技術シーズ等を活用したスタートアップの事業化促進事業」に係る公募に採択され、約2億円の助成金の交付が決定しました※1。インテグリカルチャーは、本事業を通して、低コストでより多くの種類の動物由来細胞から培養肉を作るといった「細胞農業」を可能にし、持続可能な食の実現を目指します。

※1: NEDOニュースリリース”2022年度「研究開発型スタートアップ支援事業/地域に眠る技術シーズやエネルギー・環境分野の技術シーズ等を活用したスタートアップの事業化促進事業」に係る実施体制の決定について”: https://www.nedo.go.jp/koubo/CA3_100339.html

独自技術で「コストの壁」を突破可能に 培養肉の本格普及を目指す
農林水産省によりますと、2050年には、世界全体の食肉の需要量が現在の約1.6倍になる見通しで※2、世界的な人口増加によって、タンパク質の供給不足が懸念されています。そうした中、牛や豚、魚などの動物から採取した細胞から作る培養肉が、新しい“持続可能な食肉”として注目されています。

※2: 農林水産省「2050年における世界の食料需給見通し」:https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/jki/j_zyukyu_mitosi/attach/pdf/index-12.pdf

グラフ①:世界の肉類の需要量見通し

培養肉は、動物から取り出した細胞を、アミノ酸やビタミンなどを含んだ基礎培地と、細胞を増やすために必要な成長因子から成る血清成分を含む培養液中で増やして作ります。しかし、その培養液に使われる血清成分は大変高額です。また、一度に多くの細胞を培養するためには大型で高価な設備が必要であることや、外部から血清成分を加えた細胞を食品として販売することは、現状の法規制の枠組みでは難しいといった普及への課題があります。

そうした中、インテグリカルチャーでは、独自に開発した細胞培養技術「CulNet®(カルネット) システム」(以下、カルネット システム)により、培養肉の普及を目指しています。カルネット システムは、動物の体内に似た環境を人工的に作り出して細胞を増やす装置で、牛や鶏といった動物の細胞は、1.5~2日で2倍に増やすことができます。

写真①:カルネット システム

高額な血清成分は、複数の臓器細胞の組み合わせによりカルネット システム内で生成することができるため不要となり、細胞の他には基礎培地のみで培養肉を作ることが可能です※3。こうした技術により、培養肉の生産コスト※4低減が実現できるほか、外部から成長因子を加えずに培養肉を作ることができます。また、培養する動物の細胞を変えることで、牛や豚などだけでなく、エビなどの魚介類などの他の培養肉への応用も可能です。

※3: 基礎培地のみでの培養肉づくり:現在さらなる検証を実施中
※4: 農畜産業振興機構2019年10月号「米国における食肉代替食品市場の現状」:世界初となる細胞培養肉ハンバーガーのコストは1個当たり25万ユーロ(約3000万円) https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_000777.html#title3

図①:より多くの動物種での実証実験が培養肉の本格普及のカギに

また、インテグリカルチャーでは、培養肉の大量生産時生産コストの低減も進めています。
2022年12月時点では、月産8キロ、100グラムあたり約3万円で培養肉の生産が可能となる見込みです。今後、設備の大型化や開発などを進め、2028年後半には、月産20トン、100グラムあたり100円近くでの培養肉の生産を目指します。また、現在の培養肉はペースト状ですが、2026年後半には、ステーキ肉のようなかたまりの肉(組織肉)の実現を技術開発目標としています。

図②:インテグリカルチャーの培養肉普及へのロードマップ

インテグリカルチャーでは、今回交付が決定したNEDOの助成金を活用し、今後より多くの動物種・細胞種での実用化・量産化技術開発を加速します。多種類の肉の生産コスト削減を可能にすることで、培養肉の本格普及を目指します。

インテグリカルチャーが目指す未来 「細胞農業」の社会インフラ化
さらにインテグリカルチャーでは、「培養肉を作るのに必要となる細胞培養技術を次世代生産技術とするため、技術の大衆化」を目標として、カルネット システム機器や消耗品開発をコンソーシアム※5参画事業会社と進めています。

※5: 「CulNetコンソーシアム」:インテグリカルチャーによる細胞農業オープンイノベーションプラットフォーム。2021年4月に発足し、12事業体が参画。https://integriculture.com/product/

図③:「細胞農業」の社会インフラ実現イメージ

カルネット システムの生産スケール各種展開と生産技術の提供を通じて、農家や食品会社、新規に細胞農業に参加する事業会社などに対し、細胞培養技術を持たずとも細胞農業製品を生産できる生産基盤を提供します。そうすることで、社会課題や環境課題のソリューションとなり得る細胞農業が、広く一般化された社会の実現を目指します。

■採択された助成事業について:
・ テーマ:地域に眠る技術シーズやエネルギー・環境分野の技術シーズ等を活用したスタートアップの事業化促進事業
・ 内容:細胞農業の普及を加速する臓器間相互作用スクリーニングの自動化

■国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)について :https://www.nedo.go.jp/introducing/index.html
NEDOは、持続可能な社会の実現に必要な技術開発の推進を通じて、イノベーションを創出する、国立研究開発法人です。 リスクが高い革新的な技術の開発や実証を行い、成果の社会実装を促進する「イノベーション・アクセラレーター」として、社会課題の解決を目指します。

■インテグリカルチャー株式会社について: https://integriculture.com
独自開発の細胞培養技術であるカルネット システムを、食品・素材・皮革などをつくるバイオ資源生産技術のプラットフォームとして開発し、様々な分野で活用する未来を目指しています。

・ 細胞農業について: https://www.cellament.jp/cell-ag
・ カルネット システムについて: https://integriculture.com/technology/

【報道関係者からのお問い合わせ先】
インテグリカルチャー株式会社 広報・PRチーム pr@integriculture.com